研究内容の紹介

鹿児島大学ウミガメ研究会では、ウミガメ類の生態調査を通して得られたデータを活用して様々な研究活動を行っています。ここでは、その例を紹介します。

  • 個体標識タグのデータを用いた回帰状況の検証

ウミガメ類の生態調査においては、個体標識タグを用いた個体の識別が頻繁に行われています。私たちも産卵調査シーズンには、夜間巡視時に遭遇したウミガメに個体標識タグを装着し、そのデータを整理しています。これによって、以前上陸した個体が再度上陸しているだとか、遠く離れた地域にある定置網で混獲された、といった情報を得ることができ、産卵のために上陸する時以外、どのような地域に生息し、どのような回遊ルートをとっているか、という情報を得ることができます。

  • 上陸時の痕跡を利用した個体のデータの推測

ウミガメが砂浜に上陸すると、そこには様々な痕跡が残ります。産卵行動に伴ったボディピットや穴掘りの跡など様々なものがありますが、その最たる例が足跡です。海から陸側にまっすぐ伸びる足跡はキャタピラの跡によく似ており、非常に特徴的です。私たちはその足跡のデータを測定することで、その足跡を残した個体の大まかなサイズを推測する手法を模索しています。ここでは、2019年度に私たちが行った研究を基にして、実際に甲長・甲幅のデータを推定するツールを紹介します。

私たちは2018年度からこの研究を進めてきており、2019年度には新たに「3点計測法」という足跡の評価方法を考案しました(下図参照)。この方法では6つのマーカーを足跡の周囲に設置し、各マーカー間の距離を測定することで「足跡幅」というパラメーターを定義します。このパラメーターと甲長・甲幅との関係性を検証し、関係性があるかどうかを調べています。

図. 3点計測法の測定方法。①から⑥までの6つのマーカーを足跡の縁に設置する。このとき、マーカーは個体の進行方向から最も遠い位置に設置する。データの測定に用いるサンプルは、満潮線よりも上の平らな部分で行う。

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